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繊維工業の環境問題とは?

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繊維工業の環境問題とは?

近年では「繊維工業が世界汚染を進めている」と言われています。日本だけではなく世界中で環境問題が大きな課題に上がっており、繊維工業が環境に与える悪影響について、現在取り上げられているのです。

国内貿易開発会議では繊維工業が世界2位の汚染産業になっていると指摘しています。繊維工業では毎年930億m3と膨大な量の水を使用しており、石油に関しては300万バレルに匹敵するプラスチック素材を海に投棄しているとされています。

炭素排出量も国際航空業界と海運業界を足したものよりも多いと言われており、今繊維工業の環境問題が大きな課題とされています。

1、繊維工業の環境問題は何がある?

具体的に、繊維工業にはどのような環境問題があるのでしょうか?繊維業界が抱える環境問題について見ていきましょう。

環境問題①水問題

繊維産業では膨大な量の水を使用しています。この膨大な量の使用量が世界の水問題にも大きく影響を与えているのです。 930億m3という水の使用量は、500万人の生存を可能にするほどの量に匹敵します。世界では干ばつなどの影響で、水不足に悩んでいる国もたくさんあります。 繊維産業が水の量を制限すれば、水不足で悩んでいる国や人々の生活を守れる可能性があるということです。

繊維工業では、染色段階で多くの水を使用します。およそ1トンの生地を染色するのに1〜25万Lの水が必要とされています。染色に伴い、廃水の量も膨大になり、なんと世界における廃水の2割を生み出しているのです。繊維産業に置いて水を使うイメージが少ない方もいるでしょう。繊維産業では意外にも、膨大すぎるほどの水を使っているのです。

また、問題なのは水の量だけではありません。水質汚染も重大な問題となっているのです。 品質の低い化学繊維製の衣類を洗濯すると、細かい繊維となって下水に流れ込みます。流れ込む繊維の量は毎年約50万トンにものぼります。 膨大な量の繊維は下水場で処理しきれず、海に放出されます。その繊維が魚の体内に入り、食事を通して人間の体に入る危険性があるのです。

環境問題②労働者問題

最近では「プチプラファッション」が普及しており、低価格の衣類が人気を集めています。低価格にもかかわらず質も安定しているので、老若男女から支持されているのです。 多くの繊維工業でも生産コストを削減するために、さまざまな工夫がされています。中でも海外では生産コストを少しでも省くために、劣悪な環境の中で労働者を働かせているところもあります。 しかし、労働者は辞めようにも生活がかかっているので辞められず、体を壊してしまった方もたくさんいます。 最低賃金以下で働かされているところもあり、重大な労働者問題が発生しているのです。

プチプラファッションの一部は、劣悪な環境下で働かされている労働者の犠牲の上に成り立っているといっても過言ではないでしょう。

環境問題③大量のエネルギー消費

繊維工業では毎日大量のエネルギーが消費されています。衣類を制作する上で大きな機械を動かしたり、工場の稼働に必要な電気を多く使ったりなど、大量のエネルギーが必要になります。 石灰火力などの化石燃料で発電されている場合は、その分二酸化炭素が多く発生するのです。

特にエネルギーの消費量が大きいのが、ナイロン、ポリエステルなどの合成繊維です。二酸化炭素の排出量は他の繊維に比べると3倍近い排出量になると言われており、環境に悪影響を与えるということは言うまでもありません。

2、ファッション業界が抱える問題

ファッション業界ではゴミの問題も大きな課題として挙げられています。具体的にどのようなゴミ問題になっているのか、詳しく解説していきます。

3、ゴミ問題

ファッション業界から毎年廃棄されるゴミの量は約9200万トンです。数字で表しても想像できないほどの量が、ゴミとして廃棄されています。 ゴミ問題が大きな課題として挙げられたのには、3つの理由があります。

  • プチプラファッションが流行、容易に洋服を購入できるようになった
  • ファストファッションの導入で生産体系が変わった
  • 衣類の品質低下に伴い、再利用率が低下した

以前までは、適正価格で販売されていたので、1年だけではなく何年も続けて同じ服を着る方も多かったです。しかし、現代ではファストファッションと呼ばれている低価格な衣類が普及しているので、誰でも容易に衣類を新調できるようになりました。 低価格なので破棄する際も罪悪感がなく、簡単に捨てられるようにもなりました。

また、低価格を実現するために衣類の品質が低下している傾向にあります。品質が良くなければ、再利用もできないので、破棄するしかなくなってしまったのです。 ファッション協会におけるゴミ問題を解決するためには、過剰生産から脱却する必要があります。需要と供給のバランスを考えて生産すれば、大きな課題となっているゴミ問題も徐々に解消できるでしょう。

4、まとめ

今回は繊維工業が抱える環境問題についてご紹介しました。繊維工業ではさまざまな環境問題が問題視されています。
しかし、現在では環境に優しい素材を使ったり、工場の可視化を進めたりすることで、地球環境を改善するためにさまざまな工夫がされています。 環境に優しい製品を作ったり、労働環境の改善を図ったりすることで、今後の繊維産業にも良い影響が出てくるかもしれません。

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