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INNOVATION CASES

速乾する綿

 

速乾性に優れた綿100%の素材を開発

開発のきっかけ

「綿100%でありながら速乾性に優れた素材があればいいのに」という声をお客様から多数いただいたことがきっかけです。
天然繊維の代表である綿はメリットも多いですが、合成繊維に比べ水分率が高く、乾燥に時間がかかるという弱点があるため、速乾性に優れた綿素材の開発が成功すれば市場の反響が大きいだろうと考え、開発をスタートしました。

開発に際して苦労したこと

吸水性を損なわずに速乾性を向上させるため、薬剤の使用は見送りました。最適な綿花を選定し、MVS※1による紡績を行うことで、糸の構造から見直しました。拡散性残留水分率※2は生地にしてから初めて結果が出るため、最良のデータが出るまで、何度も生地を試作して繰り返しテストを行いました。

※1「MVS」は「村田ヴォルテックススピナー」の略称です。 村田機械株式会社が開発した精紡機で、繊維の先端が糸の中心に来るように設計されています。
※2生地の速乾性を評価する試験。試験生地に一定量の水を滴下し、標準状態 (20℃,65%RH)の条件で吊るし、経過時間ごとの重量変化から乾燥率を算出します。

商品のデビュー戦略・販促

綿100%にこだわって商品づくりを行っていることをアピールしました。その結果、速乾する綿は市場や取引のあるお客様より高い評価をいただいています。

市場への提案

洗濯が必要な衣料用途全般に速乾する綿の提案をしています。

デビュー後の市場の反響

結束紡の構造※1により抗ピル性能※2も向上し、一石二鳥の効果を得ることができました。独特なシャリ感もあり、ドライタッチな質感です。

※1無ヨリの芯繊維束とそのまわりを螺旋状に巻き込む結束繊維の事。
※2 抗ピル性能とは、摩擦などにより合成繊維等に発生し易い毛玉のような糸の飛び出し(ピリング)を抑える性能です。 

今後の目標

これまで綿糸では不可能だと思われていた機能を付加することで、常識を覆した新たな綿素材として市場を開拓したいです。

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