接触冷感値の高い綿100%素材を開発
開発のきっかけ
綿100%の天然素材に、合成繊維に負けない冷感機能を付加したいという依頼をいただき、開発に至りました。
開発に際して苦労したこと
キシリトールなどの冷感薬剤では、お客様が望むQ-MAX(冷感値)データを満たすことができませんでした。
そこで紡績前に綿花の熱伝導を阻害する非セルロース物質を徹底的に除去し、さらに紡績の段階でサイロスパン+コンパクトスピン方式により繊維の方向を揃えたことで、表面の毛羽が抑えられ、熱伝導率を高めること(=冷感機能の付与)に成功しました。
このように、薬剤に頼らず綿の持つ性能を引き出した結果、冷感値の高い綿単体のQ-MAX値は△T=20℃の条件下で0.271というデータを記録しました。
商品のデビュー戦略・販促
実際にお客様に生地サンプルを手に取っていただいて、冷感度の高さを体感していただける機会を数多く設けることで、地道に販促活動を行ってきました。
ここで得たお客様の声をフィードバックして、商品開発にも役立てています。
市場への提案
靴の中で使用する靴下など、熱がこもりやすい環境では冷感機能の発揮が難しいため、まずは肌に外気があたることで冷感機能を実感しやすいインナーウエア―(トップスやボトムス、アームカバー)から製品化を進めました。
デビュー後の市場の反響
アームカバーなどの先発商品で冷感効果が認められたことを受け、「靴下の裏糸(FTY)に冷感値の高い綿を使用することで、肌に当たる面に冷たさを感じる靴下の開発ができないか?」とお客様から新たな依頼をいただき、長繊維冷感糸の開発を始めました。
今後の目標
これからも、従来の綿糸では不可能だと思われていた機能をさまざまな商品に付加することで、これまでの綿の常識を変えていきたいです。