サステナブルファッションについて、はっきりと説明できる人は多くありません。ぼんやりと想像はできても、具体的に何を示すのかは知らないという場合が多いです。
本記事ではサステナブルファッションについて、概要だけでなく踏み込んだ内容を解説します。参考にすることで、サステナブルファッションとは何かを説明できるようになるでしょう。
1、サステナブルとは
サステナブルとは簡単に言うと、「持続可能な」という意味です。元々は英単語であり、「sustinable」と表記します。
英語においては単に「持続可能な」という意味ですが、日本で「サステナブル」という際はしばしば「開発する」というニュアンスが加わることもあります。つまり、日本において「サステナブルな○○」と表現された場合は、「持続可能な(開発方法によってできた)○○」という意味です。
また、まれに「環境に良い」という意味とみなされる場合がありますが、誤解です。環境に良いことは、持続可能であることに繋がるため、サステナブルにとって重要なことではあります。しかし、あくまで「持続可能である」ということがポイントです。環境に良くとも持続可能でない場合は、サステナブルとは言えません。
2、ファッションにおけるサステナブルの条件は?
私達の考えるサステナブルファッションの条件は、以下の通りです。
- 配慮された素材
- 公正な環境作り
- 現地の生産
- リサイクル
環境省はサステナブルファッションについて、「衣服の生産から廃棄に至るまでのプロセスにおいて、将来的に持続可能であること」とホームページに記しています。上記の条件も、すべて環境省のサイトにて言及されています。
ただし、具体的に何を行えばサステナブルであるとみなせるのか、という細かな条件は記載がありません。そのため、サステナブルファッションとひとくちに言っても、行っていることは企業や人によって異なります。
なお、サステナブルファッションに対する環境省の見解は、下記ホームページにて確認できます。
【環境省_サステナブルファッション:https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/#:~:text=%E3%82%B5%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%8A%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%EF%BC%9A,%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%92%E8%A8%80%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82】
配慮された素材
環境に配慮された素材を使用することは、サステナブルファッションにおいて重要なことです。大きく分けると「天然素材」と「リサイクル素材」の2つに分かれます。
「天然素材」は自然から生まれた素材であり、廃棄されても再び自然に還ることができます。オーガニックコットンなどは天然素材としてわかりやすい代表例です。しかしレーヨンやキュプラなども、天然素材のカテゴリに入ります。薬品を用いて繊維化されてはいるものの、素材は自然のものであり自然に還すことが可能であるためです。この性質は「生分解性質」と言います。
一方「リサイクル素材」は、本来ごみになるはずだったものを繊維として生まれ変わらせた素材のことです。廃棄ペットボトルやプラスチックに化学的な処理を施すと、ポリエステルやポリプロピレンなどに生まれ変わります。海に廃棄されたプラスチックなども利用可能であり、Adidasはシューズを実際に作っています。
他にもパイナップルの葉やサボテンなどを利用し、動物の皮の代替品として用いるヴィーガン材料と呼ばれる素材。布を染める際、水を使わず二酸化炭素を用いて染める、無水染色材などもサステナブルファッションに配慮した素材と言えます。
公正な環境作り
衣服やファッション小物を作る生産過程において、公正な環境を作ることもサステナブルファッションには欠かせません。
衣服が制作される一般的な過程は、以下の通りです。
【衣服が出来上がるまでの流れ】
- 企画
- 原材料の調達
- 紡績
- 染色
- 裁断
- 販売
上記のうち現在日本で行われているのは、1の企画と6の販売のみであるケースがほとんど。2~5の工程は、すべて海外で行われるという状態が一般化しています。そのため日本のアパレル企業は、自社製品がどのような環境で作られているのかわかりにくい状態です。
たとえサステナブルな製作工程を構築しても、実態が伴っていない。さらに、そのことに気づけないような状態では、サステナブルとは言えないでしょう。
公正な環境作りは、状況の継続的な把握も含めて完成と呼べるのです。
現地の生産について
なるべく現地で製品の生産を行うことも、サステナブルファッションの一環と言えます。
アパレル製品の制作フローは前述しましたが、製作を海外で行い販売は日本で行うと、「完成」と「販売」の間に「輸送」のステップが入ります。輸送距離が伸びれば伸びるほど、コストがかかり燃料が消費され、環境に負荷をかけることになってしまいます。
現在アパレル製品が海外で制作されるのは、低・中所得の国で生産を行うことで人件費を抑え、完成品の価格を安くするためです。しかし、人件費がある程度かかったとしても国内生産することで、環境に負荷をかけず衣服を消費者に届けることができます。
リサイクル
新たに制作される商品にサステナブルな配慮をするだけでなく、すでに販売された製品をリサイクルすることも立派な取り組みです。
着なくなった服をただ廃棄するだけではなく、古着やおさがりとしてリユースするだけで、環境にかかる負荷は軽減されます。また、染め直してまた流通させるなど、新たに生まれ変わらせて再利用する取り組みも効果的です。
アパレル企業も、不要になった服を精力的に回収するなどの活動を行っています。これには服の回収を行うことで、ただ廃棄されるのを防ぎ、リサイクルの流れに多くの服を乗せる効果があるのです。
3、まとめ
サステナブルな取り組みに関して、具体的に知ることはとても大切です。実際の動きを知って初めて、自分がどのように行動すれば良いかがわかります。想像を働かせるだけでは、取り組みに貢献することができません。
知識は行動に繋がる足がかりです。理解を深め、循環型社会のためにできることを行いましょう。