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「ぬいぐるみに食品届?」知らないと困る! 子ども向けギフト輸入に必要な安全基準とは

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「ぬいぐるみに食品届?」知らないと困る! 子ども向けギフト輸入に必要な安全基準とは
目次



子供服とぬいぐるみのギフトセットを輸入する際、意外にも「食品衛生法」が関係するのをご存じですか?

 

「繊維製品なのに、なぜ食品衛生法?」

 

このような疑問を感じてしまう方も多いのではないでしょうか?

 

実はこれ、弊社社員が以前、子供服の輸入代行業務をしていた際に直面した、リアルな出来事です。

 

当時、海外の子供服を扱っており、ギフト用に「ぬいぐるみ+洋服セット」を販売する企画がありました。ところがこのセット、対象年齢が56歳以下だったため、ぬいぐるみがなんと食品衛生法の検査対象になってしまったのです。

 

今回は、幼児の安全を守るための検査や食品届の流れをわかりやすく解説します。



なぜ「ぬいぐるみ」が食品衛生法の対象になったのか




ぬいぐるみは食品ではありません。それでも食品衛生法に関わるのは、小さな子どもが口に入れる可能性があるからです。

 

幼児は、柔らかくて丸いものが大好き!お気に入りのぬいぐるみなら、思わず舐めたり、噛んだりしてしまいます。つまり「口に触れる製品」として、安全性を証明しなければならないのです。



幼児用ぬいぐるみに求められる《安心の条件》




幼児向け商品の場合、見た目のかわいさよりもまず安全性が重視されます。具体的には次のような条件が求められます。

 

  • 柔らかく刺激の少ない素材を使用する
  • 金属製のパーツや尖った装飾を避ける
  • 舐めても有害物質が溶け出さない素材である

 

そして意外と見落としがちなのが、ブランドラベルやタグに使用されるインクです。ぬいぐるみのタグを舐めたときにインクが溶け出さないかどうか・・・この点も通関時の検査対象となります。もし有害物質が検出されれば、輸入が許可されません。



幼児向けぬいぐるみを輸入する流れと必要な準備




では、幼児向けのぬいぐるみを海外から輸入する際には、どのような手続きが必要になるのでしょうか?必要なものや流れなどを解説します。



通関前に必要な「食品衛生法の設置届」

幼児向けのぬいぐるみを輸入する場合、まずは通関業者を通して厚生労働省や検疫所に「設置届」を提出する必要があります。そのうえで、以下の書類を準備し、手続きを進めます。


1. 商品素材・製造情報の提出

生地の規格書や商品の仕様書。サンプル添付が必要な場合もあります。

2. ラベルやタグに使用されるインクの安全データシートの提出

インクメーカーから「安全データシート(SDS)」を取り寄せ、通関業者へ提出。

環境ホルモンの一種「フタル酸エステル」が使われていないかもチェックされます。


検査に必要なサンプルと資料

検査の準備段階では、次のようなものを揃えます。

 

  • 各品番・各色の量産品サンプル
  • 正面・側面・背面・上面から撮影したカラー写真
  • 材質・対象年齢・サイズなどの商品情報

 

検査は日本の指定分析機関で行われ、結果が出るまで12週間かかります。検査で安全性が証明されるまでは、商品は販売も出荷もできません。


検査から輸入申告までの流れ
  1. 輸入通関前に分析機関でサンプル検査
  2. 検査結果が「問題なし」なら、分析機関から通関業者へ通知
  3. 通関業者が厚生労働省システムで「食品届」をオンライン申請
  4. 「食品届」が受理されて初めて、正式に輸入申告が可能になる

 

手続き自体はシンプルですが、準備や検査には時間とコストがかかるのが現実です。


海外で検査を済ませる方法もある

輸入者の負担を減らす方法として有効なのが、輸出国で事前に検査を行うこと。

 

国際的に認められている検査機関SGS (=Société Générale de Surveillance S.A.) で安全検査を実施し、そのレポートを日本側に提出すれば、国内での分析検査を省略できます。この場合は「食品届」だけを提出すればよく、輸入までのリードタイムを大幅に短縮できます。


まとめ

ぬいぐるみは、食べ物ではありませんが、幼い子どもが遊ぶときには、口に入れたり舐めたりしてしまうものです。その小さな子どもの行動を想定し、素材・インク・縫製の安全性まで確認する仕組みが整えられています。

 

「なぜこんなに厳しいの?」と思うかもしれませんが、その背景には「子どもを危険から守る」というシンプルで重要な目的があります。

 

弊社社員も「繊維なのに食品届?」と驚いたその日から、「ぬいぐるみを見る目が少し変わった」と話してくれました。

 

子どもが安心して抱きしめられるぬいぐるみを届けるために、今日もたくさんの見えない努力が、世界のどこかで続けられています。

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