近年加速するサステナブルへの取り組みは、ファッション業界にも浸透しつつあり、消費者一人ひとりの認知も高まっています。
今回は、ファッション業界で行っているサステナブルな取り組みについてご紹介します。
近年よく耳にするようになった「サステナビリティ」という言葉。日本では「持続可能性」と呼ばれ、小学校の授業でも扱われる内容になりました。
現代社会では、海洋汚染のボーダーレス化 (国境のない)する環境汚染や、多発する自然災害、格差社会 や労働問題などが取り上げられ、
など、世界中におけるサステナビリティ (持続可能性)の意識が高まっています。
ファッションは、人権問題や環境負荷の高い産業と位置付けされ、SDGsに対する取り組みへの動向が世界的にも注目されています。
なぜ、ファッション産業は環境や人権に負荷がかかりやすいといわれるのでしょうか?その理由をいくつかご紹介します。
このように、ファッション産業が地球環境に与える影響はとても大きいものです。
SDGsの17の目標に、
⑫つくる責任、つかう責任
⑭海の豊かさを守ろう
というものがあります。
ここではファッション業界でのプラスチック削減に対する取り組みをご紹介しましょう。
私たちが日ごろ手にすることが多いプラスチック。ペットボトルや食品トレー、レジ袋…などさまざまな日常のシーンで使われていますね。
プラスチックごみがポイ捨てされると、雨・風により川や海に流れ、やがてマイクロプラスチックという小さな破片になります。
世界の海には、1億5000万トンのプラスチックごみが溜まっているという通説があります。
また大阪湾には、推定でレジ袋300万枚が海底に沈んでいることが分かっています。
このように流出したマイクロプラスチックを海洋生物が誤って食べてしまうことで、生態系にも影響が出るため、世界的にも対策が急務となっているのです。
ある日本の大手アパレルは
を環境配慮の面から打ち出しています。
環境を守るために、消費者である私たちがすぐ始められるのが、レジ袋の削減ですね。
各自でマイバックなどを用意し、買ったものを入れて持ち運ぶ意識を持つことが、環境を守る視点から必要です。
マイバッグ持参はレジ袋が有料化されたことをきっかけに、個人へ浸透していることはみなさんもよくご存じでしょう。
レジ袋というと、ビニール製以外にも紙でできたものがあります。
ブランド名やお店の名前がデザインされた紙袋は、持っているだけでブランドPRにもなっていました。また、消費者目線では、そのブランド・お店で買い物をしたステイタスの一部にもなっていた面も…。
ここから、紙のショッピングにおける新たな取り組みをご紹介します。
紙のショッピングバッグについては、
このように仕様変更するお店が出てきています。
また、化学繊維のバッグが環境破壊を及ぼす恐れがあるとして、店頭で綿素材のエコバッグを販売するお店も増えてきましたね。
綿素材のエコバックも、素材にこだわっているお店があります。
サステナビリティも意識し、素材にBCI(ベター・コットン・イニシアチブ)綿を使用しています。
※BCI…人の健康と環境に影響を与える水と農薬の使用量を減らし、土壌の改善、農家や綿花生産労働者の労働環境を整え、よりサスディナブルな綿花生産を推進するための組織
ここまでご紹介した取り組み以外にも、ファッション業界ではまだまだサステナビリティに関する取り組みが行われています。
過剰包装は、見栄えや衛生面で良いこともあるかもしれませんが、資源の無駄や廃棄物増加、コスト上昇にもつながりますね。
このような対策をとるお店が増えてきています。
店頭に衣類を陳列する際に欠かせないのがハンガーです。
これまではプラスチック製のハンガーを使用することが多かったのですが、ハンガーについても次のような動きが見られるようになりました。
たたんであるシャツを購入する際に、綺麗に見せるために使用されているクリップが多く着いていて、無駄に感じることがありませんか?
これに関しても、クリップ数を減らし、代替品を検討するという動きも出てきているということで、期待したいところです。
1回限りの「使い捨てプラスチック」製品をなくし、環境に負荷をかけないことがサステナブルな社会を実現するために必要になるでしょう。
また、アパレル商品を納品する立場にいるものとして、次のようなことを心がけていく必要があると感じています。
このようなちょっとした心配りが、環境保護につながるのではないでしょうか?
環境保護の立場から、アパレル製品もだいぶ変化が見えてきました。
オーガニックコットンとは、3年以上農薬や化学肥料などの化学物質を使用していない土壌で育てられた綿のこと。
農薬を使わないことでCO2排出量を削減し、土壌や水質の汚染も抑制できるといったメリットがあります。
スペインの大手紡績メーカーは製品を集めて色ごとに選別、ほぐして再度綿にすることで紡績を行っています。これは水の削減にもつながりますし、二酸化炭素排出量の低減に貢献にもなっています。
こうした紡績を行っている背景には、アゾ染料という衣類を染める原料となるものが厳しく規制されていることが挙げられます。
従来、染料は様々な衣服の染料や顔料プリントに使用されてきました。
しかし、アゾ染料には発がん性物質を含まれることが分かり、ヨーロッパ国内で販売される際のREACH(リーチ) 規則において規制されているのです。
このことも影響して、再利用へと繋がっています。
REACH規則 (化学物質の登録・評価・認可・制限に関するEU法)
この循環システムに賛同するアパレルメーカーも増えており、今後は日本国内においても展開されていくことが期待されています。
染色方法も自然に近い方法で染めることが見直されてきています。
それには次のような観点が理由となっています。
今回はファッション業界のサステナビリティへの取り組みをご紹介しました。
「環境 として負荷をかけない【ものつくり 】が出来ているか」また、「つくる責任を果たしているのか」を再度確認することで、今後ファッション・アパレル業界が新たにやるべきことを発見できるのではないでしょうか?
環境にやさしいものづくり提案を心掛け、社会に貢献できるものを「衣」で発信する企業として(株)GSIクレオスも取り組んでいきますので、みなさんも身の回りの小さな一歩からサステナビリティな取り組みを始めてみてくださいね。