「再生繊維と聞いたことはあるけど、どのようなものかわからない」と考えている方も少なくないでしょう。現代では、環境問題に取り組むために資源を再利用した新しい繊維が誕生しています。
再生繊維とは植物のセルロースを科学的に取り出して、再生させて繊維にしたものです。環境に優しく、肌なじみの良いなめらかな着心地なのが特徴です。
裏地にぴったりの繊維として、高級コートやドレスなどの裏地にもよく使われています。
アパレルの再生素材は何がある?
再生繊維にもいろいろな種類があり、アパレルで利用されている再生素材は大きく4つに分かれています。
それぞれの再生素材の特徴や魅力、注意点などを見ていきましょう。
絹の代わりとして開発されたのがレーヨンです。再生素材として最初に開発された繊維であり、一度は名前を聞いたことがある方が多いでしょう。 レーヨンは木材パルプを原料としており、シルクを模倣して作られました。シルクのなめらかな肌触りと上品な光沢感が再現されているのが特徴です。嫌味のないさりげない光沢感は、高級感や上品な見た目を演出してくれます。
また、吸湿性も高く、汗をしっかり吸収して外に排出してくれます。汗をかいてもさらさらっとした着心地なので、1年中快適に着られるでしょう。 しかし、レーヨンは水に弱い性質を持っています。水に濡れると強度が下がり、繊維が縮んでしまう可能性があるので、注意しなければいけません。 レーヨンのお手入れをする際は、ドライクリーニングを依頼するのがおすすめです。
ポリノジックはレーヨンと同じく木材パルプを原料として作られたものです。レーヨンの改質タイプとして開発された繊維で、光沢感や肌なじみの良い触り心地などの特徴はあまり変わりません。
ポリノジックは熱にも強く、色落ちしにくい性質を持っています。親水性のため油汚れがすぐに落ちるので、お手入れがしやすく、長持ちしやすい繊維だと言えるでしょう。 レーヨンよりも繊維が緻密に組み合っているので、摩擦や水に強いのが特徴です。大降りの雨に濡れても、レーヨンよりは強度が落ちにくいです。 しかし、水に強いといっても水洗いした場合は縮んだり、型崩れしたりする可能性があります。シワにもなりやすいので、洗濯する際は注意しなければいけません。
キュプラは綿花の種子の周りについている短い繊維を原料として作られています。キュプラには「銅」という意味が含まれており、銅アンモニア法という製造方法を用いて作られています。 レーヨンよりも細い繊維のため、摩擦や水に対する強度が強いのが特徴です。
キュプラは絹に近い光沢感があり、染色性に優れているので鮮やかに染まる性質を持っています。そのため、スーツやジャケットなどの裏地に使われることが多いです。 また、吸湿性にも優れており、汗などをしっかり吸収してくれます。吸収した水分を外部に放出してくれるので、1日中さらっとした着心地を実現しているのです。
ただし、キュプラにはシワになりやすい、水シミができやすいというデメリットがあります。着ているだけでもシワができやすいので、こまめにアイロンでお手入れしてあげなければいけません。 アイロンする際も、キュプラはデリケートな素材なので120度以下の低温度から中温でかける必要があります。 中には水洗い可能となっているものもあります。水洗い可能なキュプラに関してはスチームアイロンを使っても大丈夫ですが、水洗い不可の場合はヨレや縮みの原因になるので使用しないようにしましょう。
リヨセルとは、ユーカリを特殊な溶剤で溶かして作った繊維です。繊維の断面が円形になっており、強度が高く、水分にも比較的強いのが特徴です。 リヨセルは繊維が柔らかいため、ドレープ性があります。それだけではなく、適度な光沢感があるので、さりげない高級感を演出できるのも魅力だと言えるでしょう。
また、リヨセルを作る際は溶剤を回収して再利用するので、環境の中に廃液が排出されません。再生繊維の中でも、特に地球にも優しい製品だと言えるでしょう。 しかし、リヨセルには摩擦に弱い性質があります。摩擦の負担が加わると毛羽立ちや白化しやすいので、注意しなければいけません。特に湿潤状態で摩擦が加わると、より繊維の強度が下がりやすいので注意が必要です。
今回はアパレルの再生繊維についてご紹介しました。再生繊維が高級なコートやドレスの裏地にも使われており、肌なじみの良いなめらかな着心地を実現しているのが特徴です。 現代では環境問題が世界中で大きな課題となっているので、今後はアパレルの再生繊維がどんどん普及していくでしょう。
しかし、アパレルの再生繊維にはメリットがあればデメリットもあるので、理解しておくことが大切です。 基本的に再生繊維は水に弱い性質を持っているので、洗濯する際は水洗いが可か不可かを確かめて、正しくお手入れするのが長持ちさせるポイントです。